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週末にざっと読んだ本のひとつ。



カミュ作のペストについて、今の時代だからこそ剣のように刺さる言葉の運び方は読んでいて感心致しました。

不条理な文学を扱う作家として変身のフランツ・カフカと共に挙げられるカミュ。前者は個人としての不条理、後者のペストは疫病を通して人類社会全体を覆う範囲のもの。読んだ印象では両者とも後味の悪さや絶望を扱いたいようには思えなかったのですが。

ただ、人間が本質としてはそういう“傾向”があることを短い文章の中で滲ませており凄まじく明確な描写をしています。人によっては“予言”とも捉えられるかと。



その中で要所要所で見えてくる、困難な時代にあって何に向き合うべきなのか人の行き先が明るいものであって欲しい著者の願いも受け取れます。

作中の中に出てくる人間が絶望に慣れることは絶望を与えられた時よりも悪いものなのだとか、愛とは先の未来を掴むことにも関わっている等の表現が特に。本質に向き合うことに苦心して描かれた作品ではと。

ペストに関しては学生の時に色々読んだきりでしたから改めてまた調べておきたいと思いました。
2022/07/23(土) 22:04 日常のこと PERMALINK COM(0)
地元の図書館の貸し出しカードの有効期限が切れていたので更新も兼ねて借りてきて読んでいます。

ルーツや歴史もそうなのですが、なぜその野菜が愛されているのかの分析や作者さん自身の趣向もけっこう反映されているような印象を受けます。

前書きにある人間の歴史において大きく関わりがあるのに、玉ねぎひと皮分くらいしか分かっていないのではというはじまりに共感を覚えました。

身近に当たり前のようにある野菜たちは、実はまったく知らない未知の世界であります。

https://www.sbcr.jp/product/4797390469/

当たり前は、未知数。だからこそ飽くことのない好奇心は人生において退屈せずに豊かさを与えてくれるものなのだと。

2022/06/12(日) 20:55 日常のこと PERMALINK COM(0)
なんだか仰々しい主題をつけていますが、図書館で見つけた『パストラル』C・F・ラミュ短篇選がとても良かったので。

著者がフランス語圏スイスの方だからなのかあまり感想を見かけませんでしたが、読めてとても良かった本。

https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I029751619-00

はじめて出逢う世界のおはなし単行本シリーズのひとつだそうで、他のも機会があったら読んでみたいと思いました。

スイスでイメージする高くそびえ立ちながら美しい風景が麓にある山と湖の描写、山羊たち、チーズ、エーデルワイス、ごうごうとした風の強さ…ドキュメントや学校の歌の挿し絵で目にした風景がまざまざと蘇ってきます。

何より素晴らしいのは著者のそうしたともすれば見過ごしがちな日常への愛をこめた描写の数々。観察し、感動して、愛した愛しいものたちを自ら著作へと結びつけた素晴らしい感性。感動とは自らのうちに呼び起こさせるものなのだと、そう実感します。ディティールは特別なものではなくすぐ近くにあるもの、自然や日常に存在する細部にこそ宿る。本当の自分は別の所にあるのだという幻想は捨てて良い、目の前にあるものを何故尊ばないのだろうか。目にするものには証拠があるというのに。

翻訳は國學院の先生でおられ、解説に著者ラミュがストラヴィンスキーと交友があったことについても述べられています。
2022/03/13(日) 17:43 日常のこと PERMALINK COM(0)
ベイグラ(とFF16絡めて)の雑感記事を書いている途中にふとその当時の流行りとか、所謂ティーンエージャーにハマりやすいものについて自身の経験や傾向などを思い返していて。

思い出して出てきたのが電卓使った12345679×9の倍数(確か進研ゼミに載っていたのだと思います)

×9なら111111111と並んで、81なら999999999と並ぶ、1から9まで好きな数字教えてと尋ねて電卓叩いてみせてあげるちょっとした数字遊び。

https://dear-ky.com/2018/09/24/223/

子どもの頃って普段は意識していないのにちょっとしたきっかけで顔を出して来ます。

私は母や姉にタンスの引き出しをぱかぱか開くように会話が色んな方向に飛んでいくと子供の頃はよく注意されていたのですが(笑)

今はコントロールしてもらって、ひとつのことに焦点を当て手短に会話をまとめられるよう大分こなれました。その反面、文章はつい長文になってしまっていて申し訳ない…。

でも、そうした子どもの感覚って面白いものですよね。常識に囚われず億劫にはならない自由さ。

そうした感覚、取り出せるところにまだあるのだなと気づける楽しさは、今が色んなものに触れられる時代になった面白さから来ているのだと思います。
2022/01/17(月) 21:24 日常のこと PERMALINK COM(0)
このところはドキュメントを観たりノンフィクションものを読むのが続いていたので、短くてふわふわととらえようがない小説を読んでみたくなり手に取って読んでみました、夕闇の川のざくろ。江國さんの作品に触れるのはこれがはじめて。



人なんてもともとほんとじゃないのよー…

作品紹介↓

https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8101003.html



もともとは絵本として出される作品だったと。確かに紡がれる言葉と共に描かれている挿し絵は絵本の世界のようです。

だれしもが自分を色に例えたら何色だと思うか、と自ら尋ねたり尋ねられたりした経験はあると思います。

しおん、と主人公を惹きつけるひどく孤独で美しく、嘘つきな彼女から紡がれる物語。物語には真実があると彼女は語ります。

しおんは確かに本当のことを語っているのでしょう。ただ、彼女のカラーは言語化は出来ない。

夢の内容が言葉にするとひどく不透明でバラバラで、とらえどころがなくそして儚く消えてしまうのと同じように。

そこにあるのは色のない世界のようで、本当は色づいている。ただ主人公含めを私たちには見えないのです。

買い物から戻ってきた主人公にしおんは変わってしまったことを告げます、そう出て行ってからは戻ってこれても変わってしまった。

変わってしまったものは元には戻らない。だから、しおんは人間を信じないのでしょう。



私個人としては物語は物語として終わっても人生は続く、現実へと帰っていく帰結を好みますが、こうした独特の個人が持っている世界観というのも好みとは異なる味わいを得られて貴重な満足感を抱けました。
2021/08/20(金) 22:55 日常のこと PERMALINK COM(0)
私用でバタバタしていたのですが。

近所の古い団地で、DIY物件が紹介されていまして。

それにしては賃料も随分とお安かったので。何かしら事情があるのかしら?と考えていましたら、元の持ち主の方が詳細は書けないのですが…急遽いなくなってしまわれて。

週末に散歩がてら近くに寄りましたら、新しい入居者が決まったらしくトラックが数台来ていて家の中のものがどんどん片付けられていく様子を少し眺めていました。人だけが、いなくなってしまったのだと形容しにくい感覚に包まれました。

その方を知らないので、大好きな人が亡くなった時に抱いた寂しさとはまた異なる感覚。梅雨が明けて暑くなってきたころの出来事。

兄が実家の壁紙を仕事の延長で得たスキルで張り替えてくれて、ハマったらしく最近はyoutubeでDIY関係のものばかり見ている様子ですが、人が居なくなって所有しているものが片付けられていくその光景はどこか儚いものを感じました。

持っているものは持っている人がいないと大事に出来ないのだと、ふと当たり前のことを。

においや色が記憶を呼び覚ますのと同じ様に、道具もまた道具に使われるのでなく人が使っていって大切に出来るのなら、良い想い出として残っていくのだと、そんなことを思ったのでした。

2021/07/26(月) 23:52 日常のこと PERMALINK COM(0)
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