このところはドキュメントを観たりノンフィクションものを読むのが続いていたので、短くてふわふわととらえようがない小説を読んでみたくなり手に取って読んでみました、夕闇の川のざくろ。江國さんの作品に触れるのはこれがはじめて。
人なんてもともとほんとじゃないのよー…
作品紹介↓
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8101003.htmlもともとは絵本として出される作品だったと。確かに紡がれる言葉と共に描かれている挿し絵は絵本の世界のようです。
だれしもが自分を色に例えたら何色だと思うか、と自ら尋ねたり尋ねられたりした経験はあると思います。
しおん、と主人公を惹きつけるひどく孤独で美しく、嘘つきな彼女から紡がれる物語。物語には真実があると彼女は語ります。
しおんは確かに本当のことを語っているのでしょう。ただ、彼女のカラーは言語化は出来ない。
夢の内容が言葉にするとひどく不透明でバラバラで、とらえどころがなくそして儚く消えてしまうのと同じように。
そこにあるのは色のない世界のようで、本当は色づいている。ただ主人公含めを私たちには見えないのです。
買い物から戻ってきた主人公にしおんは変わってしまったことを告げます、そう出て行ってからは戻ってこれても変わってしまった。
変わってしまったものは元には戻らない。だから、しおんは人間を信じないのでしょう。
私個人としては物語は物語として終わっても人生は続く、現実へと帰っていく帰結を好みますが、こうした独特の個人が持っている世界観というのも好みとは異なる味わいを得られて貴重な満足感を抱けました。